まだ暑さの残る9月下旬、西泉寺檀徒 新田地区の中山和昭先生の工房にお邪魔し、縄綯い(なわない)の体験をさせていただきました。
地域の公民館で開催された、しめ縄づくりの体験会をきっかけに縄綯いを始めたという中山先生。
稲作農家の多かった桑山地域では、昔からしめ縄作りも行われていたそうです。
昔から日本人は、魔を除けたり、塞いだり、祭ったりするために藁で綯った縄を使ってきました。縄は日常生活でも便利なことから、「縄綯いができるようになって一人前」なんて言われていた時代もあったのだとか。
お正月のしめ縄は、新年の五穀豊穣を願う意味でも重要なお飾りで、地域や家庭によってさまざまな綯い方があるようです。
装飾の意味合いが強くなった昨今は、さらに形状もさまざま。年末になるとお飾りコーナーにはポップでかわいいお飾りからおしゃれなものまで、色々と揃っていてわくわくするほどです。
さて、本題に戻りましょう。
体験をさせていただいたのはご自宅にある工房、『夢瓢庵』。その名の通り。中にお邪魔すると、まずは無数の瓢箪の作品が歓迎してくれました。
工房の奥の定位置に座る中山先生に、まずは大きなしめ縄(大根じめ)を作っていただきました。
まずは、青刈りされた藁の選別をします。青刈りとは、穂がつく前に稲を刈ること。乾燥や変色してしまった藁、ゴミなどを取り除き、均一な太さのものを選びます。
しめ縄の芯には、乾燥させた稲を束ねたものを3本使います。芯はよく乾いた稲で、よく見ると穂がついているものも。3つの芯の長さを合わせて準備完了。
長さと質を合わせた、青刈りの藁を芯に巻いていきます。これを隙間なくきれいに巻いていくのはまさにプロの技。丈の短い葉はどうしてもピョンピョンと外に飛び出してしまうのですが、カットして縄の中に入れ込めば表面がとても滑らかに仕上がります。
あっという間に1本完成。それを同じように3本作ります。
3本完成したらそれらを合わせて編んでいきます。横に置いた時に、縄目が下から上に向くように、激しく、力強く組み合わせていく先生。
ただ、腕力はそれほど必要ないとおっしゃる先生。女性でもしめ縄を上手につくる人はたくさんいらっしゃるのだとか。ただ、素人目にはとても迫力のある作業に見えました。
あっという間に立派なしめ縄に!
長いしめ縄ですが、まっすぐで編み目がしっかりと固く、芯もしっかりとしています。表面も細かくなめらかで、市販ではなかなか見られないような素晴らしいしめ縄でした。
つづく
(写真・レポ:浮津紘海)
コメント